きみこいし

両親死別・未成年遺児のグリーフワーク体験記

期間限定「死別体験を哲学する会」
毎週土曜14:00-16:00 川崎にて開催中

きみこいし
since 2018.5.2 C. Hiro Meguro.
【告知】2018年8月17日(金)20:00
新宿Cafeラヴォア【イラスト交流会】
漫画家が教える!初心者OK!絵・イラスト好き
興味有・創作仲間作り・想いや心の中を形に・上達技術
詳しい人から話を聞いて知識を深めたり
おしゃべりを楽しむ会
申し込みはこちらから【お茶友の会
画材はコピックと色鉛筆を持っていきます。
わからないことがあれば聞いてください。
当日は宜しくお願いします!

亡き父を恨む

すぐ怒る。瞬間湯沸かし器。人の話しを全く聞かない。
父親は居酒屋の大将。いい笑顔だった。愛嬌がある。ただ、赤ちゃんだった。
憎むに憎めない。世話好きなところもあったな。でもお節介。
天然でいろいろやらかす感じ。これ書いたかな。比喩なんだけども。
真夏に毛布をかけてくるってやつ。暑いからいいよって断るとブチ切れる。
そんなタイプ。うわぁめんどくさい。近寄りたくないなぁ。そんな感想。
お店もお客さんとトラブったのか、人はどんどん減っていった。

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父はカウンターの席に座って、やる気なく肘をついてテレビを見る。
野球ばっか見てた。ナイター?わからんな。ただあの雰囲気は好きだった。
おっ!とか一人で盛り上がって両手を上げてパチパチ拍手。
いよっ!とか言ってたっけ。お客さんがいた頃はもっと盛り上がってたなぁ。

 

お店が繁盛していた頃。


私は家に戻るとすぐ2階に上がって絵を描く。祖母はテレビで民謡を聴く。
父親は下の階でお客さんに食事を振る舞う。そんな毎日。
お酒の席ってホント賑やか。毎日が宴だった。ずっと続くと思ってた。
焼き鳥を焦がす煙もグリルの熱気も懐かしい。
換気扇に付着した油は焦げて真っ黒だった。
カウンター席の隣はカラオケの部屋で、ここは父親の寝床でもあった。
バーガンディーの生地に黒バラの刺繍が施された絨毯。部屋は一面、鏡張り。
キラキラ輝くシャンデリア。台湾蛇紋のテーブルは触るとひんやり気持ちいい。
ソファの生地はベルベットで絨毯の色と同じだったな。あ、でも無地だよ。
丸椅子を横にして玉乗りをして遊んだなって記憶がある。楽しかったな。

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ここはいつでも人の気配がした。
だから父親は晩年をここで過ごしていたのかもしれない。
カラオケの部屋はスナックだった。
母が生きていたら、ここでママをやるはずだった。
100円で1曲、ワンコイン式の機器。お客さんは深夜まで歌ってた。
男と女のラブゲームが子守唄だったね。シブい。
昔は忙しかった父。働いているから良かったんだね。
一緒に食事した記憶がほぼないってのは他の家庭とズレたところかな。
お腹空いたら下に降りて「お父さんごはーん!」「あいよォ!」この掛け合い。
お客さんの相手で忙しかった父は板前さんに私の食事を任せることもあった。
食事ができたら名前を呼ばれて取りに行く。
2階まで上がったところの階段に置かれてた。見るともういないの。
ドアがバタンって閉まる音ばっか聞いてた。いただきますくらい言わせてよね。
それから私は祖母と夕食をとるって流れ。祖母は三ツ矢サイダーが好きだった。
父親は毎日テキパキ仕事をこなす。
で、寡黙。喋んないの。でも毎日ニコニコしてんの。
他のお父さんたちよりも15歳くらい上だから会話も噛み合わなかったと思う。
昭和15年生まれ。45歳ぐらいのときに私が産まれた。おぎゃぁだね。
食べてるとこって見たことないなぁ。お刺身を一切れ摘んでおしまい。
ビアばっか飲んでんの。それでアルコール中毒
一気飲みとか自慢してたからね。瞬間で消すみたいな。そりゃ肝硬変になるわ。
でも私は面白がってた。父は娘の喜ぶ顔が大好きだったんだな。
あまり恨みってないかもね。いや、今日が落ち着いてるだけかな。
なんかね、掛け合いの言葉で「あいよ」って変換したら愛よって出るし。
小っ恥ずかしいね。私も好きだぜ。だから今でも寂しいよ。