きみこいし

両親死別・未成年遺児のグリーフワーク体験記

期間限定「死別体験を哲学する会」
毎週土曜14:00-16:00 川崎にて開催中

きみこいし
since 2018.5.2 C. Hiro Meguro.
【告知】2018年8月17日(金)20:00
新宿Cafeラヴォア【イラスト交流会】
漫画家が教える!初心者OK!絵・イラスト好き
興味有・創作仲間作り・想いや心の中を形に・上達技術
詳しい人から話を聞いて知識を深めたり
おしゃべりを楽しむ会
申し込みはこちらから【お茶友の会
画材はコピックと色鉛筆を持っていきます。
わからないことがあれば聞いてください。
当日は宜しくお願いします!

ある人の死別

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当時19歳。怠惰な生活を送っていた。
よく笑い、すぐキレる。感情の起伏が激しくて近寄りがたい人間だった。
問題は性格だけじゃない。服は人を作る。見た目も良くなかった。
アニメキャラのように真っ青な髪をした自分を奇異な目で見る人は多かった。
唇には3つ4つ増えたり減ったりするボディピアス。コロコロ変わる見た目。
音楽バンドやV系なら違和感はないが、ここは普通の人が集まるところ。
まるでスイミーだ。真っ赤な魚の群れに一匹の黒い魚が泳いでいる。
目立つことの優越感と悪目立ちする疎外感。
スイミーのようにその色を武器に役立つことは決してなかった。

そんな自分でも人間として接してくれる人がいた。
その人はおおらかで優しく人見知りをしない。可愛らしい笑顔で評判も良い。
ツンケンしてた自分は挨拶くらいで済ませてたような覚えがある。
それでもその人はいつもニコニコ、誰とでも仲よく接していた。
そんな人がある日突然来なくなった。
『どうしたんだろうね。最近あの人見ないけど。そういえば休んでるよね』
噂話。どうでもよかった。朝起きるのも面倒臭い。死別ってやだな。
なんで私はこんなとこにいるんだろ。自問自答の毎日。自分のことで精一杯。
その人が戻ってきたことにすら気がつかなかった。
『え?!なんか前と違くない?! 痩せたよね。でも今の方がいいよね!』
困った笑顔で笑うその人を遠くから眺める。本当だ。痩せている。
まぁるい金魚ようにふっくらとした体だったのに。なんかスリムになってるし。
変なの。数日であんなに痩せるか普通。まぁどうでもいいけど。
私は部屋を後にする。扉の前でその人とすれ違った。目があった。
その人の表情がふっと和らいだ。力の抜けた、安堵したような。
目に涙を浮かべたような。ふわっとしたあったかい何かを感じた。

ピンときた。この人、死別したんだ。誰かはわからないけど、死別した。

恐らくその人は私の家族構成を知っている。両親死別。未成年遺児。
その人は私を見て自分の境遇を重ねたのかもしれない。
私たちは何も話さなかった。その人は話したかったかもしれないけど。
私は無言でその場を去った。そんな記憶。
でももしかしたら迂闊な声かけをしていたかもしれない。
当時の私は陽気に振舞ってばかりいた。
その人を傷つけるような行動をとったかもしれない。
もしそうだとしたらとても申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
それ以来その人を見ることはなかった。
『辞めちゃったんだって』話題もそれっきり。辞めた理由はわからない。
でももし死別が原因で働けなくなったしたら退職という選択肢は正しい。
日常生活を送ることができないのだから居続ければ迷惑になるだけだ。
世間は甘くない。仕事のできない人間はやっかまれる。
辛いなら辞めていい。どんな生活をするかは自分で決められる。
ある人の死別は居場所について考えるキッカケをくれた。
我慢する必要はない。世間体などあってないようなものだから。