きみこいし

両親死別・未成年遺児のグリーフワーク体験記

期間限定「死別体験を哲学する会」
毎週土曜14:00-16:00 川崎にて開催中

きみこいし
since 2018.5.2 C. Hiro Meguro.
【告知】2018年8月17日(金)20:00
新宿Cafeラヴォア【イラスト交流会】
漫画家が教える!初心者OK!絵・イラスト好き
興味有・創作仲間作り・想いや心の中を形に・上達技術
詳しい人から話を聞いて知識を深めたり
おしゃべりを楽しむ会
申し込みはこちらから【お茶友の会
画材はコピックと色鉛筆を持っていきます。
わからないことがあれば聞いてください。
当日は宜しくお願いします!

手紙は遺言になった

ヒロの夢を応援してる。あのとき背中を押してくれた友人はもういない。

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葬式にはいかなかった。友人の死を知ったのは、すべてが終わった後だった。
お墓も手を合わせていない。それでいいと思ってる。向こうの家族の問題だ。
私が口を出すのは御門違い。私は自分のために喪の作業を続けることに決めた。
貰った手紙を読み返す。小さな丸文字。女の子だ。可愛い人なんだな。
手紙なんて滅多に貰わないからドキドキした。嬉しかった。宝物だ。
いい歳して働かずに漫画ばっか描いてる。それじゃダメだってわかってる。

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でも描きたい。寝る時間も惜しい。知人には白い目で見られた。それが世間だ。
運悪く、そんな人たちに囲まれた環境で過ごしてしまった。だから離れた。
描きたいから描く。でも描けない。真っ白な紙を見ると頭の中も真っ白になる。

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ありすぎてない。言いたいことがありすぎる。どこから描けばいいんだろう。
手が止まる。煙草の煙を燻らして悩む。キャラクターはいても物語が動かない。
描きたいんだ。呪文のように唱える。呆れる知人。だったら描け。見離される。
言いすぎたんだな、きっと。ひとりごとのつもりでも相手には重荷に感じる。

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死別の話しもそうだった。共感なんてない。同じ立場でないと分かり合えない。

 

そんな中で応援してくれる友人がいた。心の支えだった。感謝している。
出会った当時の友人は死と無縁の暮らしをしていた。
それでも心には深い闇がある。複雑な家庭環境だった。
安心して眠れる環境ではない。ずっと耐えてきた。自傷行為をしながら。

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怒りを人に向けず自分に向ける。友人は我慢強い人だった。
死別での繋がりができたのは高校三年のとき。当時の私はイライラしていた。
遺児ってなんだよ畜生。なんで私なんだ、ふざけるな。
答えが出なくて腹ただしい。そんなときだった。

友人の口から直接聞いた。詳しくは聞いていない。聞きたくもなかった。

急になんだ今更か。おまえ母親の弁当食ってたろ。私の前でも平気で食ってた。
子供みたいな自分に呆れる。そんな状況でまともに話しなんてできない。
なのに近寄ってくる。鬱陶しい。聞いても流した。それどころじゃない。
自分も苦しかった。もう独りでいい。どうせ誰にもわかってもらえない。
私は黙ってその場を去った。

 

卒業して数年後に再び出会う。お互いターニングポイントを迎えた頃だった。
私は漫画がうまくいかず、友人も生活が追い詰められていた。
ようやく話せる時期が来た。よくカラオケに行った。惰性に過ごす。

やばいよねこんな生活。苦笑い。でも当時の私たちにはそれが必要だった。

笑って泣いた。とても大切な時間だった。

 

そして6年前の今日、友人が死の体験を私に話す。
たった一度きりのことだった。
しずしずと泣く友人。その姿は今も私の記憶に残っている。
遠くを眺めポツリポツリ呟く姿。
消え入りそうなその声にしっかりと耳を傾ける。
その頃はもう感情を表に出せないほどに友人の心は麻痺していた。

当時貰った手紙にはこう書かれている。
「大好き!」友人の言葉は今も私の心の支えになっている。